1.膣トリコモナス症とは?

「膣トリコモナス症」とは、「トリコモナス」という肉眼では見ることができない小さな虫が、性器内に感染して炎症などを起こす性感染症です。

主に性行為で感染する

膣トリコモナス症の主な感染原因は、「性行為」です。

感染者と性行為をすると、女性なら膣内にトリコモナスが侵入して、「膣」やその奥にある「子宮頸管」などに寄生します。 一方、男性は、「前立腺」や「精のう(精液の成分をつくる器官)」に寄生するケースが多くあります。

日常生活でも感染する

膣トリコモナス症の病原体であるトリコモナスは、「乾燥には非常に弱いけれど、水中では長時間生きることができる」という特徴も持った小さな虫です。 そのため、性行為による直接的な接触以外でも、感染者が使った浴槽や便器、タオル、下着などから間接的に感染することもあります。

膣トリコモナス症に感染すると、女性では下記のような症状があらわれます。

女性の症状

  • おりものの量が増える
  • 泡状・悪臭のおりものになる
  • おりものの色が黄色や黄緑になる
  • 外陰部や膣に強いかゆみや痛みを生じる
  • 排尿痛が起こる
  • 膣内が炎症で赤くなる

この中で最も多いのが「おりものの量が増える」で、感染者の56%に見られます。 下着に付いたおりものの異常で、感染に気づくケースが多くあります。 これらの症状は、トリコモナスに感染して4日~1カ月後にあらわれます。

ただし、感染者の20~50%は、1カ月を過ぎても何も症状があらわれないと言われています (そのうちの約1/3は、「感染から6カ月以内には何らかの症状があらわれる」とも言われています)。

男性の症状

男性は感染しても目立った症状が出ることはあまりなく、無症状の場合がほとんどです。

尿道炎を起こして、尿道から膿が出たり、軽い排尿痛を感じることがありますが、 排尿によってトリコモナスが洗い流されて自然に治ってしまうこともあります。

男性では症状がまったくない、もしくは軽い場合がほとんどのため、知らないうちに女性に感染させてしまうケースも珍しくありません。

2.妊娠中に感染、赤ちゃんへの影響は?

では、本題である「妊娠中の膣トリコモナス症の影響」について、見ていきましょう。

流産や早産のリスクがある

膣トリコモナス症が引き起こす膣炎の影響で、「流産」や「早産」、予定日よりも早くに破水してしまう「前期破水」の原因になるリスクがあります。 早産の時期によっては、赤ちゃんの成長に影響が出たり、障害が残る可能性も出てきます。

そのため、赤ちゃんが十分な大きさに育つまでお腹の中にいられるように、 膣トリコモナス症であることが分かったら、医師の指示のもと適切な治療を受けることが必要です。

産道感染はまれ

産道感染(分娩のときに産道の粘膜や血液から、胎児が感染すること)を起こすことはまれです。

クラミジアや梅毒などの性感染症は産道感染のリスクがありますが、膣トリコモナス症の場合、あまり心配する必要はありません。

3.妊娠中の膣トリコモナス症治療

お腹の赤ちゃんに配慮して治療する

通常の膣トリコモナス症の治療では、「メトロニダゾール」というお薬を10日間飲み続けます。 しかし、妊婦さんがメトロニダゾールを飲むと、お薬の成分が胎盤を通過して赤ちゃんに影響を与えてしまうことがあります。

そのため妊婦さんは、飲み薬ではなく、メトロニダゾールの膣錠(膣内に入れるお薬)を使って治療を行います。 膣錠なら、胎児への影響はないため、安心して治療を受けることができます。

そして約10日間治療を続けて、「トリコモナスによる症状がなくなっている」かつ「顕微鏡などの検査でトリコモナスが確認できない」という状況になれば治療終了です。

4.妊娠中は感染・発症しやすくなる?

誰でも妊娠中は、穏やかに過ごしたいものです。 膣トリコモナス症になんて、感染したくないですよね。

ただし、妊娠中には膣トリコモナス症にかかりやすい理由があるのです。

膣の自浄作用が低下して感染しやすくなる

妊娠中は膣の自浄作用(細菌が増えないように膣内環境を整える働き)が低下してしまいます。 そのため、通常時に比べてトリコモナスをはじめ、感染症にかかりやすくなってしまうのです。

妊娠中だからといってコンドームを付けずに性行為をしたりすると、トリコモナスに感染することがあるため注意してください。

抵抗力が弱って症状が出やすくなる

妊娠してから感染を思い当たる性行為がない場合は、それ以前に感染していた可能性もあります。

膣トリコモナス症の症状は、感染してから4日~1カ月後にあらわれます。 また、それよりもさらに後に症状があらわれるケースもあります。

そのため、「実は妊娠前の性行為でトリコモナスに感染していて、妊娠して体の抵抗力が弱ったせいで症状があらわれた」ということも十分にあり得るのです。

このように妊娠中は、膣トリコモナス症に感染しやすくなったり、症状が出やすくなったりします。 気になる症状があらわれたら、我慢したり放置したりしないで、すぐに医師に相談するようにしてください。

5.治療を終えても油断しない

無事に膣トリコモナス症の治療が終えたら、再感染しないように注意することも大切です。

女性が膣トリコモナス症に感染していた場合、パートナーである男性も感染している可能性が高いです。

そのため、旦那さんに自覚症状がない場合でも、検査・治療を受けてもらうようにしてください。 旦那さんが感染していた場合、あなたがせっかく治療を受けて治しても、再びトリコモナスをうつされてしまうことがあります。

そのような事態を招かないためにも、お互いで検査・治療を受けて、完治させるようにしてください。 もちろん、完治するまで性行為は控える必要があります。

6.最後に

妊娠中に膣トリコモナス症にかかると、早産や流産のリスクが高まってしまいます。 女性が感染すると、分かりやすい症状(泡状・悪臭のおりもの、膣のかゆみなど)が出ることがあるため、 気になる症状があったり、妊婦健診で発覚した場合は、医師の指示に従ってきちんと治療を受けて治すようにしてください。

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