1.そもそも梅毒とは?

性行為で感染する性感染症

梅毒とは、梅毒トレポネーマという病原菌が引き起こす性感染症です。 梅毒感染者の患部(皮膚や粘膜)に触れると、病原菌が皮膚や粘膜の目に見えない小さな傷口から侵入します。

梅毒は「皮膚や粘膜との直接接触」が原因になるため、主に感染者との性行為で感染します。

しこりや潰瘍ができる

症状としては、感染部位(性器など)にしこりや潰瘍(皮膚や粘膜に傷がつくこと)ができたり、 リンパ節が腫れたり、全身に発疹があらわれたりします。

※梅毒の感染原因や症状については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2.女性の感染が増加

ここ数年、性感染症の梅毒感染が急増しています。 特に女性の感染者が増えていて、2010年は全体の20%(124人)でしたが、2015年では全体の28%(574人)と年々増加しています。

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3.母子感染する梅毒

このように感染が拡大している梅毒ですが、以前は「不治の病」として恐れられていました。 しかし、現在では有効なお薬があるため、治療で完治できるようになりました。 つまり、「治せる病」に変わったのです。

しかし、だからといって軽く考えてはいけません。 妊婦さんが梅毒に感染すると、胎盤を通して病原菌が胎児に感染することがあるのです。

これを「先天梅毒」と言います。 ※大人になって性行為などで感染する梅毒を「後天梅毒」と言います。

4.胎児への影響

胎児が先天梅毒にかかると、胎児の全身に梅毒の病原菌が広がり、流産や早産の原因になります。 また、生まれたとしても「早期先天梅毒」「晩期先天梅毒」にかかる可能性があります。

早期先天梅毒

出生直後には症状が出ませんが、2歳までに下記のような症状が出てきます。

  • 肝脾腫かんひしゅ (肝臓や脾臓が腫れてお腹が膨らむ)
  • 紫斑しはん (体に紫色のあざのような斑点が出る)
  • 黄疸おうだん (皮膚や粘膜が黄色くなる)
  • 骨軟骨炎こつなんこつえん (骨や軟骨に炎症が起こり痛みを生じる)
  • 鼻閉塞びへいそく (鼻づまり)
  • 低体重

晩期先天梅毒

早期先天梅毒とは異なり、2歳以降に下記のような症状が出てきます。 ただし、検査や治療法が進化しているため、晩期先天梅毒は現在の日本ではほとんど見られません。

  • 実質性角膜炎じっしつせいかくまくえん (黒目に白い濁りが出てくる)
  • 内耳性難聴ないじせいなんちょう (音が聞き取りづらくなってしまう)
  • ハッチンソン歯(歯がのこぎり状になってしまう)

5.妊娠初期に受ける梅毒検査

妊婦さんが梅毒に感染すると、非常に危険です。 そのため、妊娠初期(4~12週)には梅毒検査を受けることが「母子健康法」で義務付けられています。

検査では抗体を確認する

梅毒に感染すると、血液の中には抗体(異物である病原菌を排除しようとする物質)が作られます。 検査では微量の血液を採取して、血液中に梅毒に対する抗体があるかどうかを確認し、感染の有無を調べます。

妊娠後期にも検査を受ける場合が

実は抗体ができるまでには、梅毒に感染してから4~6週間ほどかかります。 当然、抗体ができる前に検査を受けると、感染していても「陰性」と出てしまうことがあります。

つまり、正しい検査結果を得るためには、感染の疑いがある日(不安な性行為などをした日)から6週間以降に検査を受ける必要があるのです。

そのため、妊娠直前に梅毒に感染した場合、実際は「陽性」なのに、妊娠初期の検査では「陰性」と出てしまうことがあります。 また、検査を受けた後に、梅毒に感染してしまうこともなくはありません。

妊娠初期の検査が「陰性」であっても、「夫が梅毒に感染している疑いがあって、妊娠直前や妊娠後もコンドームなしでエッチをした…」など、 梅毒感染の不安がある場合は、妊娠後期にも検査を受けることをおすすめします。

6.妊娠中の梅毒治療

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Mila Supinskaya

検査を受けて梅毒感染が発覚した場合は、すぐに治療を始めます。 そもそも、妊娠初期に梅毒の検査を行うのは、万が一感染した場合でも、治療を受ければ無事に元気な赤ちゃんを産むことができるからです。

ショックは大きいかもしれませんが、お腹の赤ちゃんのためにもきちんと治療に取り組むようにしてください。

治療ではペニシリンを使用

妊娠中の梅毒治療は、梅毒の病原菌に効果のあるペニシリンという抗菌薬を大量に投与します。 妊婦さんが内服した抗菌薬は、血液と胎盤を介して胎児にも届くため、胎児に対しての治療にもなります。

お薬の胎児への影響(副作用など)を不安に思うかもしれませんが、 妊娠中に産婦人科などで処方されたお薬は、安全面も配慮されています。 安心して飲んでください。むしろ、飲まない方が危険です。

治療は医師の指示通り続ける

現在は、妊娠初期の検査や効果的なお薬のおかげで、先天梅毒の発症はひと昔前に比べてだいぶ少なくなりました。

ただしそれでも、2013年に4件、2014年に10件、2015年に13件の先天梅毒が報告されています。 ここ最近は、女性の梅毒感染者が増え続けていることから、先天梅毒の件数もさらに増える恐れがあります。

繰り返しますが、元気な赤ちゃんを産むためにも、妊娠初期の検査で梅毒感染が発覚したら、医師の指示通り治療を受け続けてください。 また、妊娠初期の検査で「陰性」の場合でも、感染の不安があるなら、後期に改めて検査を受けるようにしてください。

7.再感染に注意

梅毒を完治させた後は、再感染しないように予防の意識を持つことが大切です。

パートナーも検査を受ける

自身の梅毒感染が発覚した場合、パートナーにも必ず検査を受けてもらうようにしてください。

上でも書きましたが、梅毒は主に感染者との性行為で感染します。 あなただけが検査や治療を受けて梅毒を治しても、パートナーが梅毒に感染していたら、再びうつされる恐れがあります。

男性が梅毒に感染すると、ペニスのカリ首部分に潰瘍(皮膚や粘膜に傷がつくこと)ができたり、体に薄ピンクの丸いあざがいくつもあらわれたりすることがあります。 しかし、症状がまったく出ない時期もあります。

そのため、「夫は何も変わったところがないから大丈夫」と判断するのは危険です。 感染防止にコンドームは有効ですが、それでも100%防げるわけではありません。

梅毒の再感染を断つためにも、お互いが治療・予防を心がけるようにしてください。

8.これから妊娠を考える方へ

妊娠中に梅毒感染が発覚した場合でも、適切な治療を受ければ、元気な赤ちゃんを産むことは可能です。 しかし、このような事態はできれば避けたいものです。

妊娠中はホルモンバランスが大きく変動するなど、体調管理が難しい時期です。 不安要素はなるべくなくして出産に望みたいですよね。

そのため、これから妊娠を考える方は、妊活を始める前に、梅毒を始めとした性病検査を受けておくことをおすすめします。

先ほども書いたように、性病検査はどちらか一方だけが受けても、相手からうつされることがあるため、ふたりで検査を受けるようにしてください。 そして、検査を受けて感染が発覚した場合には、すみやかに治療を受けてください。

9.最後に

お腹の赤ちゃんに、梅毒は防ぎようがありません。 防ぐのはお母さんの役目です。

万が一、妊娠中に梅毒感染が発覚した場合は、医師の指示に従って治療を受けるようにしてください。 そして、再感染しないように十分注意してください。

※本文内で紹介した記事はこちらです。

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